あした、精神科に行ってきます。

そんなことをぼくが漏らしたとしたら、
どんなふうに反応しますか?

「大丈夫、大丈夫、えっ、大丈夫なの?」
と過剰に心配をしたり、
昔気質な人であれば、
「お前は精神が弱いんだ。つよくなれ」
なんて言う人もいるかもしれない。

「ああ、そう、いってらっしゃい」と、
声をかけてくれる人は少ないんじゃないかなあ。

クリムトさんの『The Kiss』が飾られている
ベルヴェデーレ宮殿には、こんな絵があった。

Richard Gerstlさんが自分自身を描いたもの タイトルは『Laughing(わらってる)』。

Richard Gerstlさんが自分自身を描いたもの
タイトルは『Laughing(わらってる)』。

この絵を観てどんなことを思いますか?

「すてきな笑顔の彼は、幸せにちがいない」
「たのしい人生を送っているんだろうなあ」
なんて風に思う人も多いことでしょう。
ぼくも、そんな風に思いました。

ただ、25歳の彼はこの絵を描いた
1908年に自殺をして、死んだ。

彼のパトロンであり、友人の
Arnold Schonbergさんの夫人に
恋をしてしまったのだという。

幸せそうにみえる彼の笑顔は、
自分を守るためのものだったのだ。

ああ、そうそう、なんで
こんな話をしているかというとね、
オーストリアのウィーンでお家に
泊まらせてくれたセバスチャンが、
大学で心理学を勉強していて、
精神科に通うことが恥ずかしいことじゃなくて
「あした、精神科に行ってくるね」が
自然に話せるような環境になればいいな
って話していたんです。

ぼくも、そうなったら、とてもいいと思う。

社会人一年目のときに、ひとりしかいない
同期の男子がとつぜん会社を辞めた。
あいさつもできないくらい、とつぜんに。

彼はいつも、よく笑っていた。
スーパー明るくて、キラキラしていて、
営業に向いているなあと思っていた。

ただ、そんな彼は精神がつらくなり辞めた。
笑顔の下にある彼の気持ちを、
ぼくはまったくわかっていなかったのだ。
ただ、死なないでくれて、よかった。

正直、そのときぼくに相談されたとしても、
スポーツばかりをやってきたぼくは、
「まあ、つらいときもあるわなあ」
くらいにしか相談に乗れなかったと思う。

素人にこころの問題を解決するのは難しい。
だからこそ、精神科に行くハードルが低くなり
行くことが恥ずかしくなくなれば
いいなあと本当に思う。

心理カウンセラーが大活躍する時代ってのも
いいかどうかはわからない。
でも、心理カウンセラーが活躍する時代が
来ているというのは、たしかです。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
ほな、精神科に行っとくるわ。てな感じにね。

このときの場所/オーストリア ウィーン
現在地/カナダ バンフ

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