今年も、どこからともなく、やつがやってきなのだ。
足音も立てずに、あなたのお鼻の中へ。
そう、あの花粉が。

花粉症になるか、ならないかは、
自分のからだの中にある花粉をためる器に、
花粉がたまって、花粉が溢れるか、溢れないかによると
むかしに聞いたことがある。

器から花粉が溢れると、花粉症になり、
器から花粉が溢れないと、花粉症にならない。
器の大きさは人それぞれで、
ちっちゃな器の人もいれば、おっきな器の人もいる。

ぼくは、高校まで体育館で活動する
バスケ部に入っていたのだが、
大学に入って、屋外で活動する部活に所属すると、
あっという間に、花粉症になった。

ぼくの器は、居酒屋の店員さんが持って来てくれる
「お通しでーす」の、小鉢どころか、
お刺身を持って来て「こちら、ご使用ください」の醤油皿。
花粉が注がれると、すぐに溢れかえった、
恥かしくなるくらい、ちっちゃな器だ。

花粉症のあなた、
ぼくらの器は残念ながら、ちっちゃいのだ。

まだ、花粉になっていないあなた、
笑ってはいられないぞ。
あなたの器から溢れる日は、明日かもしれない。

醤油皿みたいな器の人がいれば、
一生、花粉症にならないくらいおっきな器を
持っている人もいるんだから、
人間いろいろで、おもしろいですよね。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
怒りとか、喜びなんかも、見えない器があるんだろうなあ。