会社のお昼休みに、近くの大学食堂にお邪魔して、
帰る間際に見かけた大学生の話です。

大学食堂には、宅配で有名な生協さんが入っていて、
自分の好きな食べ物をおぼんに載せて、
最後におばちゃんのいるレジまで
持って行って会計を行うという形をとっている。

昼食を食べおえた後、食堂を出ようとすると、
明るい男子学生が、
レジで働くおばちゃんに話しかけていたのです。
どんな文脈があったのかは、わかりませんが、
「木下さん」「榎本さん」と、
うれしそうな顔をしながら、
レジにいるおばちゃんの名前を呼んでいた。

おばちゃんは、おばちゃんで、
「いいから、授業に行きなさい」と、
うれしそうな顔で答えていた。

きっと彼は、名前で呼ばれることが、
うれしいということを、知っているのでしょう。
相手が喜ぶことを、なんのいやらしさもなく、
やってのけていたのです。

すんばらしいなあ、と思うのです。
ぼくなんかは、相手にとっていいことをしたら、
ドヤだとか、ニヤニヤが表情に出てしまう。

食堂では、食堂のおばちゃんとしか認識されていない
彼女たちが名前で呼んでもらえることは、
きっと、とてもうれしいことです。
君とか、あなたとか、お前とか、おばちゃんでもなくて、
名前で呼ばれることは、ひとりの人間として
認めてもらえたような感覚でしょうか。
彼は、人間ひとりひとりを見ているのです。

もちろん、働くうえで、お金は必要なのですが、
おまけのように、こういうことがあると、
働くのが、さらに楽しくなるだろうなあ。

名前で呼ぶことは、人を喜ばすことができます。
しかも、それは、タダじゃありませんか。
下の名前で呼んでもらえることは、
もっとうれしいことです。

今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
タダで喜んでもらえることって、もっとありそうですね。