ニューヨークでひさしぶりにお会いした
ゼミの教授が口にしたことで、
大学時代の授業で耳にしてから
今でもずっと忘れられない言葉がある。
「映画は、のぞき穴です」
大学では、カルチュラルスタディーズという
分野を勉強していたんですが、
簡単に言えば、今当然とされているものを
疑って、それがどんな力関係によって
できたものかを研究するというもの。
たとえば、いろんな会社で当たり前のように
「女性のほうが男性より給料が低い」。
これっておかしいことですよね。
そんな当たり前とされていることを疑って、
どんな力関係や歴史が原因で、
こんな状態になっているのかを解きほぐします。
カルチュラルスタディーズについて
もう少し語りたいところですが、
話は「映画は、のぞき穴です」に戻りますね。
新聞、テレビなど、あらゆるメディアには、
当たり前かのような文化が隠れていて、
映画なんかにも、その要素があります。
それで、そんな日常で知りえない世界を
のぞき込めるのが映画なんです。
ぼくの説明が三歳児レベルなので、
伝わらないかもしれないけど、
ぼくは「のぞき穴」という言葉に、
感動してしまったんです。
ふだんは隔たりとなっている壁と壁にある
空間をつなげるのが、「のぞき穴」の役割。
たとえば、SNSなんかも、
完全に「のぞき穴」ですよね。
芸能人なんかは、テレビで見せないような
日常の生活や、すっぴんなんかを披露している。
それを見て、喜びを得ているわけです。
人間は、恥ずかしくなったら、
「穴があったら入りたい」なんて言うけど、
人間は、なにもなくても、
「穴があったらのぞきたい」
生き物なんじゃないかとぼくは思っている。
だから、「のぞき穴」のような、
メディアやコンテンツに人間は惹きつけられる。
今日はここで、おわってもいいんだけど、
ベルギーのアントウェルペンには、
「MAS」っていうすばらしい美術館があって、
中でもおもしろいと思った展示は、
壁にある小さな「のぞき穴」をのぞきこむと
アンダーグラウンドな世界が見えるものだった。
その中のひとつの世界は、『Puppy Play』。
「16+」って書いてあるから、たぶん、
「16歳以上しかのぞいちゃダメよ」ということ。
穴をのぞくと、大人の男性が革で作られた
犬のマスクや、尻尾をつけて
たのしんでいる様子が動画で流れている。
犬になることで快感を得ていたよう。
きっと、彼らは犬になりたいフェチなのだ。
ああ、すごい世界をのぞき見させてくれたもんだ。
日常では絶対に触れることができない世界。
ただ、のぞくって、快感なんですよね。
ぼくもいろんな国の文化をのぞき見するために、
旅をしているのかもしれません。
それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
人が心の内側を語るの聞いているときも、
きっと、のぞき穴をのぞいてるような感じ。
このときの場所/ベルギー アントウェルペン
現在地/アメリカ フィラデルフィア
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