バランスと偏り

カトマンズからポカラ行きのバスに乗ると、
なぜか乗客全員が右のタイヤ側に座っていた。

「これじゃあ、左の車輪浮いちゃうじゃないか
（じっさいにはそう簡単に浮かない）」と思って、
無力ながら、ひとり左のタイヤ側に座る。

案の定、出発前にバスのスタッフが
バランスを取って乗客全員を座らせていた。

日本のエスカレーターに
「歩かないでください」と書いてある理由に、
転んで危険だからという理由以外にも、
片側だけで歩かれると、
エスカレーターが壊れやすくなるのだと
誰かから聞いたことがある。

確かに、片側だけ毎日足踏みされていたら、
バランスが崩れて、壊れるよな。

会社に勤める日本のサラリーマンでも、
重そうなバッグを片手でもっていたり、
肩にかけていたりして、
身体のバランスが崩れている人を目にする。
その体勢、つらくないのだろうか。

栄養なんかも、そうだけど、
偏らないでいるというのが、
モノでも人でも「健康」につながるみたい。

でも人間の場合、偏っているところに
魅力を感じるのも事実なんだよなあ。

音楽とウイスキーしか愛せない
ロックのボーカルだとか、
他の科目はぜんぜんでも、
科学が得意な中学生だとか、
家事はできなくても、舞台に立つと
ひときわ存在感を放つ女優さんだとか、
仕事と遊びを分けずに、
熱を持って休まず働いている人とか、
とっても魅力的だ。

マリリン・モンローさんには、
左右異なるサイズのヒールを履いていて、
セクシーな歩き方を演じてたっていう
都市伝説もあるよね。
偏った歩き方がセクシー度を増した。

バランスもいいけど、偏りもいい。
どちらもね。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい１日を。
偏っても、健康はくずさないようにね。

このときの場所／ネパール カトマンズ→ポカラ
現在地／ナゴルノ・カラバフ

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