ベトナムの真ん中にあるホイアンという街は、
夜になると提灯の灯りが照らされ、
色気のある街に変身する。
夜、観光客がごったがえすなか歩いていると、
現地で生活している子どもや、おばちゃんが、
「ボートに乗らないか」や、
「灯篭(とうろう)を川に流さないか」と、
船のカタチをした火のついた灯篭をもちながら、
聞いてくる。
ぼくは「No thank you」と言って、断ったんだけど、
みんなが「No thank you」と言ってしまうと、
困っちゃう。
それらを売ってる子どもや、おばちゃんが
困っちゃうってもあるんだけど、
ぼくを含めた観光客も困っちゃう。
なぜかというと、川のスピードと同じく
おだやかに進むボートや、
川に流れる灯篭の火の光がなくなると、
街にただようムードがなくなっちゃうのだ。
戦略的か、はたまた偶然か、この街は、
街に来ている観光客と一緒に街のムードを
つくっているのです。
たとえば、自分の椅子がほしいと思って、
職人のつくった完成品を手にするよりも、
ワークショップか何かで、
自分自身でコツコツとつくったほうが、
愛着がわいてくることがある。
この街は、それと同じだと思う。
赤ん坊が産まれた瞬間から、大人の姿をしていて、
「これからどうぞ、よろしくお願い申し上げます」
なんて、言われたらいやだよね。
赤ん坊は、育てたくなる未完なところがいいよね。
観光客が灯篭を流すためにボートに乗り、
街を火の光で彩ることで、
自分が好きなホイアンになる。
「あなたがこの町に来ることで、
ホイアンがホイアンらしくなるのよ」
たくさん笑ったことでできたシワの多い、
ホイアンのおばあちゃんが言ったとさ。
それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
未完成をつくるという考え方。
このときの場所/ベトナム ホイアン
現在地/タイ チェンマイ
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