従兄弟の子どもと道ですれ違ったときの話である。
その子どもは、小学校高学年くらいの女の子。
ぼくはいつものように、
「おーい」と言って手をふった。
それに気づいた女の子が、
こちらに向けて手をふり返す。
手をふるとすぐに「あっ」という顔をして、
恥ずかしそうに手をふるのをやめて、
小さくお辞儀をした。
そのバイバイとお辞儀をする女の子の姿が
とてもかわいかったのです。
手をふるのをやめたのは、
きっと、お姉さんになってきた証拠。
ぼく(おとな)のことを「おとな」と
認識しはじめたからでしょう。
まれに芸能界で子役を演じる「こども」は、
芸能界の「おとな」に対して敬語を使用して話しますが、
多くの「こども」は、敬語なんて使用せずに喋り、
「おとな」と対等な関係にあります。
ほんのちょっと前までは、
「いっしょにあそぼー」と喋りかけてきて、
鬼ごっこを一緒にやったり、
大縄を一緒に跳んで遊んだり、
「こども」と「こども」の関係でした。
バイバイは「こども」のメタファー、
お辞儀は「おとな」のメタファー。
今まで対等に遊んでいた「こども」の中に、
少しづつ「おとな」の成分が増えていっている。
成長していく姿に、すこしさびしい気持ちと、
うれしいという気持ちが入り混じります。
バイバイよ、さようなら。お辞儀よ。こんにちは。
バイバイよ、いつでも顔を出しておくれ。
それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
「こども」→「こどな」→「ことな」→「おとな」の「こどな」な瞬間でした。