林完次さんが、監修した『月とこよみの本』に、
国によって、異なる月の物語が
語られてきたと書いていた。

人間は昔から月に対して、
特別な感情を抱いてきて、
月の模様をうさぎや蟹に見立て、
月になにものかが住んでいると
語られてきたという。

日本では、かぐや姫が有名ですが、
ネイティブアメリカンでは、
糸を紡ぐ女性の住人がいるといわれ、
フランスでは、神さまが下した罰のために
月に閉じ込められた男がいるという
物語が伝わっています。

まったく同じものを、違う国の違う人の
目で見ると、まったく違って見えるのが
おもしろいではありませんか。
あなたは、月を見てなにを思いますか?
きっと、ぼくと違うことを思うのでしょう。

『MONKEY CLIMB』の、サルも、
語るひとによって全然違う印象なんです。
サルの諺には、「猿に烏帽子」だとか、
「沐猴にして冠す」だとか、
バカにさるるもの多いんですが、
サルの語源としてもっとも有力なものが、
動物の中で知恵が勝っているから、
「マサル(勝る)」という説です。
バカにされてるんだか、一目置かれてるんだか。

人間も同じだと思うのです。
遠くから見たら、バカにされていても、
近くから見たら、尊敬できるひとだっている。
だから片方の視点で、もうダメだとか思わず、
もう片方の視点で、天狗になるのではなく、
両方をおもしろがりたい。
まぁ、ポジティブなほうがうれしいんですけどね。

今日も、明日も、明後日も、いい日でありますように。
いつもはバカにされていても、たまに一目置かれる存在でありたい。