マラウイの青年の仕事

ムズズからカタベイに向かうために、
街でバス停を探して歩いていると、
「カタベイ」行きと書いてあるバンタイプの
乗り合いタクシーが前から走ってきたので
「ラッキー」と思って飛び乗った。

すぐにカタベイに行くのかと思ったら、
同じ道をなんどもグルグルと回っているではないか。

どうやらお客さんがいっぱいになるまで
目的地には行かないようで、
しかもお客さんをじっと待っていられず、
「カタベイ行くよ」と街を歩く人に
声をかけながら車を走らせている。

効率を考えたら、動かずに人が来るのを
待っていたほうがいいと思うだろう。
燃料のことを考えても、無駄に走らずに
待っていたほうがいいと思うだろう。
それでも、前のめりで動いてしまうところ
ぼくは嫌いじゃない。

２０分ほど走り回り、車内が満杯になり、
やっと目的地に向かって進み出した。
すると、となりにいるハタチのアンドリューが
いろいろと話しかけてきてくれた。

「マラウイのことなんでも聞いてよ」なんて
言うので、いろいろと質問としてみた。

イギリスの植民地だったことや、
１９６４年に独立したことを教えてくれた。
わからないことを聞くと、必ず
「それはマラウイの本を買って読むといいよ」と、
わからないとは言わない彼。

彼の仕事についても聞いてみた。
食べ物をいれるようなお弁当サイズの
プラスチック容器を売っていると言う。

１つ５００クワチャ（約７５円）で、
１つ売ると１５０クワチャ（約２２.5円）の
儲けが出て、１日に３０個売れるんだと。
計算してみると、１日に６７５円の収入だ。

「日本は、お金があっていいよなあ」なんて
言うけど、彼はとても幸せに生きていて、
「お金は何に使ってるの？」と聞くと、
「ファッションに使っちゃうんだよねー」と
いい笑顔で答えてくれる。

「確かに、オシャレさんだね」着ている
シャツを褒めると満面の笑みを浮かべる。

お金は大切という大前提があるとして、
お金だけじゃないよなあと、
当たり前のことを、ここマラウイでも思ってしまう。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい１日を。
それでもお金は大切だよなあの無限ループ。

このときの場所／マラウイ ムズズ
現在地／日本一時帰国

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