港区の小学校の横を通ると、
小学生の男の子ひとりと、警備員さんひとりが、
校庭でサッカーのパス交換をしていました。
なぜか、警備員さんが遊んでいるのです。
小学生のへたっぴなパスを、
全力で追いかける警備員さんを見て、
いいなあと思ったんです。

この様子を他のひとが見たら、
「あなたは警備員なんだから、
学校や生徒を守ることに専念しなさい」
なんていうかもしれません。

警備員としての募集要項には、当たり前ですが、
「小学生とのサッカー」なんて項目はないでしょう。
そうな項目があったら、たのしいですけどね。

どんな事情があったかは、わかりませんが、
警備員という役割を超えて、
小学生をたのしませていて、
同時に自分もたのしんでいるのが、よかったんです。
考えてみると、ひとは役割をこえた行為に、
感動したり、よろこんだりするのかもしれません。

雨の日に入った公民館のような場所で、
知らない掃除のおばちゃんが「これで体拭きな」と、
親切にタオルを貸してくれて、
うれしかったのを覚えています。
もちろん、掃除のおばちゃんの役割に、
濡れているひとを見つけたら、
タオルを貸してあげること、なんてものはありません。

それは、やらなくてもいいけど、
あったらうれしい、おまけみたいなものです。

ぼくが大学を卒業して働いた会社は、
おまけの会社でした。
もしかしたら、そういう魅力を
おまけに感じていたのかもしれません。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
おまけのように、役割をこえていきたいものです。