私というコンパス

グアテマラにあるティカル遺跡を
ガイドしてくれた小さなおじさん、
アントニオさんが教えてくれた。
マヤ文明では７つの方角があるということを。

一般的に知られている東西南北、
そして、天（上）と地（下）、
それに、「自分」という７つだ。

なぜ７つなのか理由はわからないけど、
この考え方を、７方向のコンパスって
解釈すると、生きるのに役立つと思う。

「時代に流される」なんてコトバがあるように、
ぼくたちは自分の意志ではなくて、
周りの環境や考え方に流されやすい。

大多数の人がいいと言ったものを、
なんとなくいいと言ったり、
大多数の人がわるいと言ったものを、
なんとなくわるいと言ったり。

時代のコンパスばかりを眺めていては、
みんなが同じ方向にしか歩かなくなる。
それ自体はわるいことじゃないんだけど、
コンパスにある自分という７つ目の方角を
いつだって忘れちゃいけないね。

自分がどの方角を向いているのか、
自分のムネやハラの声に耳を澄ませ、
私というコンパスの方角に従って、
勇気をもって踏み出していく。

「自分はどこへ向かいたいのか」
「自分にとって大事なものはなにか」

それは、もしかしたら、周りの人とは、
違う方角を向いているかもしれない。

それは、安定を求めている時代に、
未開のジャングルを冒険するように
危なっかしい方角かもしれない。

それは、みんなに「そんなの無理だ」と
バカにされる方角かもしれない。

それでも、「自分」のこころが指す針を
無視したり、なかったことにしてはいけない。
ぼくはそう思う。

時代や誰かのせいにして生きないためにもね。

何百年前に生きていただろう、
味のあるマヤのおじさんがこっちを見て
「今日のお前、説教くさいぞ」と笑ってりゃ。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい１日を。
自分と時代の両方のコンパスが指す方角を見ながら。

このときの場所／グアテマラ フロレス
現在地／チリ プンタ・アレーナス

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