人生には、悲しいこともあれば、
うれしいこともある。
そんな当たり前をまるごと感じた一日だった。
アリ族のお宅にホームステイさせてもらうため、
ガイドのムテカくんとジンカという街から
お宅のあるバゼットまで、
1時間ほど坂道を歩いて登っていた。
坂道をハアハアと歩いていると、
たのしそうな歌声が聞こえてくるので、
ムテカくんに「何の音?」と聞くと、
「教会で歌ってるんだよ」と教えてくれた。
勢いのある手拍子と男女の声が混じり合って
聞こえる歌は、力強く、生きるよろこびを
歌ってるように感じる。
そこから10分ほど歩いていると、
かなしそうな音が聞こえてくるので、
「何の音?」とムテカくんに聞くと、
「誰かが亡くなったんだよ」と教えてくれた。
たしかにそれは、女性たちが泣き叫ぶ音だ。
日本のお葬式なんかでは、
亡くなった人の家族でも、平静を装って、
ずっと泣き叫ぶなんてことはないように思う。
ここでは悲しみのボリュームを全開にし、
びっくりするくらいの音量で泣き叫んでいる。
ほんのちょっとちがう場所に、
生きるよろこびの音と、
死ぬ悲しみの音が鳴り響いている。
ホームステイさせてもらう家に着き、
夜になると、お宅の外から、
「ホーホーホーホー」とネイティヴアメリカンが
声を出すような、怪しい音が聞こえてきた。
家の人たちが一斉にそちらへ向かう。
真っ暗のなか、ついて行くと、
みんなが、ご近所さんと、握手を交わしている。
「何があったの?」と聞いてみると、
2009年に結婚していたふたりのことを、
その日やっと、奥さんのほうの両親が
結婚を認めてくれたのだという。
8年。ずいぶん長いこと、
認められなかったんだね。
その長い、長い、8年もの間。
奥さんはつらかったにちがいない。
いちばん「おめでとう」と言ってほしい人に
「おめでとう」どころか、
「許さない」と言われていたのだから。
家族に認めてもらえたという
奥さんの顔は、とても晴れやかだった。
それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
今日がよくない一日でも、明日はよくなる。かもよ。
このときの場所/エチオピア バゼット
現在地/ボツワナ
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