イスラエルのエルサレムからバスに乗って、
パレスチナのベツレヘムへ行った。

到着すると、人がわんさかしていて、
マーケットも賑わいがあって、いい街だ。

イスラエルとパレスチナ自治区の間には、
高さ6m以上の、人間がかんたんには
超えられない壁が隔てられている。
壁の上には、つめたい有刺鉄線が
パレスチナ側を向いている。

じっさいに壁の横を歩いてみると、圧迫感があって、
壁を建てられた側のパレスチナ人の気持ちは、
けっして、うれしくないのがわかる。

キリストの生まれたとされる場所に行った後、
タクシーのおじさんがストリートアーティスト
バンクシーの6つのウォールペイントに
連れて行ってくれるというので、
値段交渉をして、タクシーに乗った。

おじさんに「来るのはじめて?」と聞かれ、
「うん、イスラエルはじめて。」と言ったら
「ここはパレスチナだーよー。
イスラエルはクレイジーだーよー。」と、
つっこまれてしまった。し、しまった。

そんなおじさんに、訪ねてみた。
「イスラエル人の友だちはいるの?」と。
「いっぱいいるよ。」とおじさんが言う。

ああ、よかった。そのことばは、
壁の隙間に見える小さなヒカリに思える。
友だちという存在は、最後の最後で、
争いを止める防波堤になると思う。

ぼくだったら、友だちの住んでいる場所に
ミサイルなんかの攻撃はぜったいにできない。

バンクシーのウォールペイント3つを回ると、
「はい、おわり。お金ちょうだい。」と、
急にタクシーを止める、おじさん。

「えっ、6つまわるって言ってたじゃん。」
と、ぼくがつっこむ。

「他の3つは遠いね。」と、ごまかすおじさん。

「人をだますのは、よくないなあ。
最初に言って金額は、払いたくない。
6つのうちの3つしか見てないから、半分ね。」
と、しかたなくお金を払おうとするぼく。

お金をうけとらないおやじ。
(おじさんと、「さん」づけするのをやめる)
「おれには、子どもがいるんだ。」

「子どもにも同じことをするのかい?」
そして、唾飛ばしながら5分ほど口喧嘩が続く。

なんかのやりとりがきっかけで、
「神は見ている。」と言い出すおやじ。

「人をだましてるあなたのことも、
神さまは見てるんだよ。」と、ぼくが言うと、
しまったという顔をして半額を受けとるおやじ。

前に、アルメニアの旅で会った日本人と、
「戦争は、おわらないのか?」という
話になって、彼は「戦争の最小単位である
ケンカがおわらないのだから、戦争も、
おわらないんじゃないか」と言っていた。

ぼくは、そのとき、何も言わなかったんだけど、
今は、たとえケンカをしたとしても、
相手のことを殴らないでいることはできる。
と思っている。

どちらかが殴りはじめたら、
そこから悪循環がはじまってしまう。

互いにケンカをはじめない智慧をもち、
もしケンカがはじまっているのだとしたら、
それ以上に膨らまない工夫をすること。
そうすれば、戦争までにはいかない。
それがぼくの子供のような考えだ。

壁があるから、外国人観光客が来るってのも、
ヒカリとカゲだよね。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
なんだって工夫ってのが必要だよね。

このときの場所/パレスチナ ベツレヘム
現在地/マダガスカル ムルンベ

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