ダハブからルクソールへ向かうバスにて。
運転席の上にテレビがついていて、
エジプトの映画が流されていた。
その映像は、映画館で違法に撮影されたものだ。
映像には、撮影者の前の席に座る若者の頭が、
しゅうし映りこんでいるいるじゃありませんか。
しかも、その若者が『キャイ〜ン』
のウド鈴木さんのような髪型、
マンガ『SLAM DUNK』のゴリのような髪型で、
存在感が大きいもんだから、
映画の内容がぜんぜん頭に入ってこない。
途中、伸びをしたり、
サングラスで遊びはじめる若者。
映画よりも、そっちに注意がいく。
撮影者もこそこそと内緒で撮ってるもんだから、
「あのう、ちょっとずれてもらえますか?」と、
言うこともできないだろう。
違法動画をなんとも思わず流しはじめるバス会社、
若者の頭が映り込んだ違法動画を観ている乗客、
なんともシュールでおっかしな状況だ。
違法動画がビジネスとして成立する背景には、
撮影する人だけじゃなくて、
買う人、流す人、観る人の存在が不可欠だ。
すべての人が、違法動画を受け入れることで、
はじめてお金が動くんじゃないかな。
買う人、流す人、観る人が、別々じゃなくて
ひとりのほうが多いだろうけどね。
あらゆるものがコピーできる世の中になった今、
つくる人はどう生きればいいのだろう。
先日、ツイッターで旅するフォトグラファーが、
自分が講演をしたセミナーを
知らない人に、完全にマネされたとことを知り、
とても悔しがっていた。
映像や、音楽だけじゃない。
今や、なんでもコピーされる可能性があるのだ。
で、コピーできないものは、ないのだろうか。
どううまくコピーをしたって、
セミナーの場合なんかは、話す人の熱や、
魂みたいなものはコピーできないと思う。
どんなにコピーできたとしても、
表面にあることばだけだ。
そこにある熱や魂みたいなものは、
植物を育てる土のようなもので、
また新たな花や果実を育てることができる。
果実や花の写真を撮影し、持ち帰った人には、
新たな果実や花を育てることはできないだろう。
そう思って、またつくりはじめようじゃないか。
コピーされた人びとよ。
まあ、追いかけっこが続くのは、つらいよね。
それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
マネすることは、いいことでもあるんだ。
このときの場所/エジプト ダハブ
現在地/マダガスカル
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