かわいいをペロリ

女性の芸能人の話をしていると、
「あの子は、ただかわいいだけでしょ」
という声を耳にする。

「かわいいだけ」というのは、
顔や表情や雰囲気はかわいいけど、
演技が上手いというわけでもなく、
おもしろい話をするというわけでもなく、
運動神経がいいというわけでもなく、
歌が上手いというわけでもない、
という意味で言っているのだろう。

でね、
「あの子は、ただかわいいだけでしょ」と言う人に、
「かわいいだけ」をなめちゃいけないよ。
と、ぼくは言いたいのです。

赤ん坊や小さな子どもなんか、
ほんとう「かわいいだけ」なんです。

迫真の演技をするわけでもなく、
（泣いたふりは成長とともに覚える）
笑わせる小ネタをもっているわけでもなく、
バク転ができるわけでもなく、
歌謡曲を歌うわけでもない。

もっと言えば、
ひとりで歩くこともできない。
ひとりで食べることもできない。
ひとりで眠ることもできなかったりする。

おとなが助けてあげないと、
生きることもできない。

するとしても、
手に持っているものを投げつけたり、
「それをとって」と駄々をこねたり、
拾ってわたすと、また投げたり、
うんちや、おしっこしたり。

でもね、おとながあたえてばっかりで、
おとなに何もあたえてくれないかというと、
そんなことはない。

その場に赤ん坊や小さな子どもがいるだけで、
みんなが笑顔になったり、
その場の雰囲気がやわらかくなったりする。

これって、かわいいだけと言われる
「かわいさ」がつくっているもの。
「かわいい」って偉大だよ。

でね、おまけとして言うけど、
「かわいい」の奥深さは、赤ん坊や、
小さな子どもや、仔犬や、女性だけが
「かわいい」と言われるんじゃなくて、
お腹の出ているおじさんサラリーマンや、
８０歳過ぎているおばあちゃんや、
ニヒルな人まで「かわいい」と
言われることがあると言うこと。

あなたが「かわいい」と言われることだって、十分あるわけです。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい１日を。
それと「かわいいだけ」と言われちゃった人だって、
「かわいいだけ」じゃないよね。

このときの場所／トルコ イスタンブール
現在地／ヨルダン→イスラエル

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