インドの列車や、バスに乗っていると、
チャイ売り、お菓子売り、水売りやらが、
上野のアメ横のおじさんのように
独特な大きな掛け声を発して、
それぞれの商品を売りに車内に乗り込んでくる。

チャイ売りの場合、
「チャイ、チャイ、チャイ、チャイ、チャイ」というようなシンプルな掛け声で売っていて、
その独特な言い方が頭から離れないでいる。

彼らは朝夜関わらず、腹から声を出しているため、
車内に声が響きわたる。
寝てるときでも、大声を出すもんで、
寝ている乗客にとっては迷惑なんだけど、
ぼくはこの癖のある掛け声がけっこう好きだ。

ジャイプールからデリー行きの、
ちょっとお高めの特急列車に乗ったとき、
物売りのおじさんたちの声が小さいことに
気がついた。

彼らの服装を見ると、
みんな真っ赤なポロシャツを着ていて、
鉄道会社に雇われている人たちのようだ。

腹から声を出して、売ろう感の伝わる人は
4、5人のうち1人くらいだろうか。

今まで見てきた、勝手に列車やバスに忍びこんで、
思わず耳に入るでっかい声でモノを売っていた人は、
誰にも雇われていない人たちだったのだ。

彼らは、自分のお金でモノを仕入れて、売って、
その差額が自分たちの飯を食うお金になる
わけだから、必死に声を張りあげたり、
乗客に気に留めてもらえるよう、
あえて癖のある発声をしていたのだと思う。

ぼくの両親が飲食店をやっていた頃、
母親が店頭で、でっかな声で
「いらっしゃいませ」って言ってたなあ。

チェーン店ばかりが溢れる今の地元には、
あんなにでかい声は聞こえてこない。
自分のお店だから、本気だったのだろう。
(静かな本気ってのも、あるけどね)

そういう状況(食っていくため、
自分が最高決定者だったり)でないと、
本気って、でないものなのかしら?
いや、ほんとうにそうなのかな。

ピンク・レディーの『UFO』など、
数々のヒット曲を作詞してきた阿久悠さんは、
もともと広告代理店に勤めていながら、
会社には内緒で放送作家の仕事をしていた。

ある番組で、放送作家の延長線として、
番組レギュラーの歌手、スパイダースの歌詞を
書くようになったのだという。

広告代理店のサラリーマン生活に、
ラジオやテレビの放送作家の二重生活。
さらに作詞と、眠れない日もあったにちがいない。

おそらく、サラリーマンだけでも
食っていくには、困らなかっただろう。
阿久悠さんは、なぜ、こんなにも
がんばれたのだろうか。

正解かどうかはわからないけれど、
もともと阿久悠さんは映画が好きで、
脚本を書きたかったのだという。

その映画好きが、広告屋の枠をはみ出し、
放送作家の枠をはみ出し、
作詞家としても活躍したのだろう。

やりたいことや、好きの延長線上では、
本気だせるってことかな。
それは、本気というか、夢中のほうが
言葉として、適切かもしれないね。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
夢中になってますか?

このときの場所/インド デリー
現在地/ジョージア トビリシ

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