簡単じゃないけど

「チャンド・バオリ（Chand Baori)」に
行ったバスの帰り道、
目の前に座っていたおじいさんの耳から
たんまりと毛が生えていた。

最初は後ろから見ていて、髭かなと思ったけど、
耳の穴の中と内側の凸になっている部分から、
モサモサと立派な耳毛が生えている。

後頭部がハゲかかっていたので、
そちらに耳毛を移せたら、うれしいだろうなあと
まことに勝手ながら思っていたのだが、
まっ、そう簡単じゃないよね。
おじさん、ごめんなさい。

日本は残念なことに、
世界で１番ご飯を残している国。
その捨てられる前のご飯を、
世界のどこかにいるお腹の空いている人に
分けることができたらなあと思っても、
時間的・地理的ハードルが積み重なる。
うん、簡単じゃないよ。

あらゆる問題は簡単じゃないんだけど、
そこで「あきらめたら試合終了ですよ」と、
漫画『SLAM DUNK』に登場する安西先生から、
ぼくらは教わってきた。

今ぼくが思っていることは、
世の中にある、「あきらめやすくするルール」や、
「がんばらないほうが報われるルール」は、
できるだけなくしたほうがいいということ。
これまた簡単じゃないんだけどね。

ぼくは、コルカタの日本人宿で、
罰ゲームによってモヒカンヘアーになった。
大貧民（トランプゲーム）の「都落ち」という
はじめて聞いたルールによってだ。

「都落ち」とは、大富豪（1番）になった後、
また大富豪が1番に上がれなければ、
大貧民（最下位）になってしまうという
ルールなんだと。
これじゃあ、みんな大富豪になろうと
思わないじゃないか。なんか、おかしいぞ。

ま、これはゲームだし、
髪の毛はすぐに伸びるからいいんだけど、
今は法律で禁止されているインドにおける
「カースト制度」ってのも、
おっかしなルールだよね。

あなたが通う仕事の中だとか、学校の中にも、
やる気を奪うルールはあるかもしれない。
そういう、やる気をなくすルールは、
気づいたらどんどんなくしていってほしい。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい１日を。
簡単じゃないけど、できなくはないはず。
そう思えたら、こっちのもんだ。

このときの場所／インド ジャイプール
現在地／アゼルバイジャン ガンジャ

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