「同じ立場になって、はじめて知ったよ」と、
ひとが泣きながら言う場面に遭遇した。

すべてを語れないので、曖昧 me mineに申しますと、
過去に、今の自分と同じ立場にいるひとのことを
相手の立場を考えず、貶してしまったのだという。
でも、その相手は、もうこの世にはいない。

おとなが泣きながら言うのですから、
そうとうな後悔があるのでしょう。
言おうとして言ったというよりも、
こころの中にあるものが零れ落ちたことばだ。

子どもは、親の立場なんか知らずに我儘を言い、
おとなになると、自分が子どもだったことを忘れ、
子どもに我儘を言うなと言う。

でも、子どもがあまりにも、
おとなの立場なんか考えていたら、
子どもはつまらなくなる。
立場を知りすぎると、
おとなにとっての正解ばかりを行動してしまう。
でも、正解なんて、あってないようなものでしょ。

でもでも、子どもだった人間が自分の子どもをつくり、
親の立場に立てた時には、親は年を取っていたり、
死んでしまっていることもある。

だから、「同じ立場になって、はじめて知ったよ」
というような零れ落ちたことばや感情は、
ぼくのような親になる前の人間にとっては、
ひとつの方位磁針になるのです。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
まっ、全く同じ立場なんて立てないのですから、想像力。

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