その昔、ネイティブ・アメリカンには、
「Little big man」と呼ばれる人がいた。

その人がどんな性格で、なにをしたかは
ぜんぜん知らないんだけど、
このリトル・ビッグという言葉が
ぼくはふかく気に入ってしまった。

小さくて、大きい。
大きくて、小さい、じゃなくて、
小さくて、大きい。

このネイティブ・アメリカンだけじゃなくて、
たいていの人間っていうのは、
リトル・(たまに)ビッグなんじゃないかと思う。

オランダのアムステルダムの宿で、
出会った韓国人の女性は、
くせがあって、いいやつだった。

ぼくの中でくせがあるって言うのは、
勘違いされては困るが、褒め言葉だ。
くせがあって、人を傷つけるのはよくないけど
ピースでくせがある人は友だちとして大歓迎。

この女性は、インテリアの学校を卒業して
テレビの美術さんをやっている。
『Youn’s Kitchen』なんていう韓国の
テレビドラマの美術も手がけた。

彼女のくせが強いエピソードをあげていくね。
彼女は韓国人男性にぜったい
「オッパ」と言わない。

韓国語の「オッパ」はお兄ちゃんって意味で
男性は女性から言われると、喜ぶらしい。
その喜ぶかんじがどうも気にくわないらしく、
「オッパ」と呼んでたまるかと言っていた。

彼女は、ベジタリアンなんだけど、
そのベジタリアンになった
きっかけが、これまたおもしろい。

彼女がインターネットをつかって
犬を食べるという人と
チャットをしていたときの話。

「なんで、犬を食べるんですか?」
と彼女がその人に聞くと、その人が返す。
「なんで、あなたは牛や豚を食べるんですか?」

・・・
このやりとりが彼女に響いた。
たしかに、牛や豚を食べているわたしは、
犬を食べる人を否定できないではないか。

そんなことを思って、次の日から、
ベジタリアンになったんだと。

ちなみに、チャットをした
犬を食べる人の名前も顔も知らない。
会ったことは、もちろんない。
彼女がベジタリアンになったことさえ、
その人は知らない。
それでも、次の日からベジタリアンに。
なんていう自分への厳しさと柔軟さだろうか。

まあ、くせのあるエピソードはここまでとして、
「リトル・ビッグ」に戻ろうじゃありませんか。

彼女は、オランダのあと
スウェーデンに行くと言う。

スウェーデンを旅するのは2回目。
他の北欧には行ったことないのに、
スウェーデンにまたに行く理由を聞いてみた。

「スウェーデン人って、ほんとう優しくて、
前回、スウェーデンを旅したときに、
ひとりのスウェーデンのおばさんが
『わたし、今まで韓国人と話したことない』
と言って、お家に招待をしてくれたんだ。
それが、うれしくって、たのしくって。
また、そのおばさんに会いに行こうと思って」

旅をしていると、
自分の小ささにたくさん気がつく。
大きな自然に、小さな自分。
大きな遺跡に、小さな自分。
大きな偉人に、小さな自分。

でも、人間ってのは、たまに大きいんだよなあ。
彼女にとって、このおばちゃんの存在は、
天然記念物や、世界遺産くらいに、
大きいんだろうなあ。

きっと、このおばちゃんは、
歴史的な人物にはならないだろうし、
100kgの泡をもちあげられないだろうし、
全米を泣かしたこともないだろう。
そう、ぼくと同じ、一庶民だ。

この韓国人の女性にとっては、
小さなおばちゃんは、大きい。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
あなたも、わたしも、リトル・タマニ・ビッグ・マンです。

このときの場所/オランダ アムステルダム
現在地/アメリカ ポートランド

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