とつぜんですが、亡くなられた偉人や異人の方にインタビューをするという企画、名づけて「イジンタビュー」を考えました。
ゲストは、サグラダ・ファミリアなど世界遺産に登録される数多くの作品をつくったスペインの建築家アントニ・ガウディさんです。
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ぼくは、今30歳なんですが、もうすぐ31歳になります。ガウディさんが、サグラダ・ファミリアの主任建築家に任命されたのは、31歳と聞きました。すごいですね。
ーガウディ
もちろん、がんばってはいたけど、半分は運だね。サグラダ・ファミリアはもともとフランシスコ・ビリャールが建築家としてオファーされていて、ただ教会側との意見の対立が
あったみたいで、ビリャールは辞任。次に白羽の矢が立ったのがわたしなんだ。
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じゃあ、ビリャールさんと教会側が対立していなければ、いまごろは違うサグラダ・ファミリアになっていたんですね。
ーガウディ
まあ、そうだなあ。
人との運命的な出会いもあった。エウセビオ・グエルとの出会いがなかったら、今のわたしやサグラダ・ファミリアは存在しない。
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たしかに、グエルさんとは、グエル公園、グエル邸など、たくさんお仕事をされていますね。グエルさんとは、どんな風に出会ったんですか?
ーガウディ
26歳の頃、まだ建築家になって3ヶ月しかたってないとき、パリで開催されていた万国博覧会のために、わたしははじめて手袋のショーケースをつくったんだ。
それをたまたまグエルが見つけて「おもしろい」と思ってくれたらしく、わざわざわたしに会いに来てくれたんだ。
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はあ、それはうれしいですねえ。ガウディさんがショーケースをつくっていなかったら、グエルさんが万博会場に足を運んでいなかったら、この後のことを考えると、なんて運命的な出会いなんでしょう。
ーガウディ
ああ、彼がわたしを育ててくれたと言ってもいいだろう。わたしが作るものに、細かい指示はなく、のびのびと自由にやらせてくれた。信頼してくれていたんだ。
費用がかなりかかったグエル邸では、困る執事を尻目に「芸術とは、そういうものだ」と笑いながら言っていたっけなあ。
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ガウディさんが建築家として成長するにあたって大切な人がだったんですね。
ーガウディ
ああ、そうだな。依頼主としてだけでなく、わたしも彼を友だちとしても信頼していた。グエルとは、建築のことだけじゃなくて、社会問題や宗教、バルセロナをどうよくしていくかについてもよく語っていたなあ。
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バルセロナには、市民が歩くことのできるグエル公園もありますね。
ーガウディ
ああ、もともとそこにグエルは、たくさんの人が住める庭園住宅地を作ろうとしてたんだ。ただ、バルセロナから少し遠いことや、わたしの建築が受けいれなかったことで、残念ながら一軒しか売れなかった。
だから、わたしとグエルともう一人だけそこの場所に住んでいたんだ。
ある日、グエルが「ここの場所を公園にして市民に開放しようと思うんだ」と言ったんだ。とてもいいアイデアだと思ったね。
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そんな信頼をよせているグエルさんとのお別れはつらかったでしょうね。
ーガウディ
ああ、親友との別れはつらかった。その頃には、家族もいなかった。家族や依頼主、財産もなにもなかったからこそサグラダ・ファミリアの仕事に没頭できたんだ。
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毎日、新しいアイデアを出して、職人さんに伝えていたと聞きました。
ーガウディ
ああ、街を歩いているときでさえ、どうすればサグラダ・ファミリアがもっとよくなるかを考えていたなあ。それで、ぼーっとしてたら路面電車にひかれちゃったんだけどね(笑)
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いや、ガウディさん、そこは笑えませんよ。毎日新しいアイデアをもってくるガウディさんに職人さんはどんな反応だったんでしょうか?
ーガウディ
もちろん「えー、また変えるの?」という反応もあったけど、わたしたちには信頼関係があった。
わたしは、やる気のある職人であれば、できるであろう設計にまで落とし込み、「早い仕事をするためには、ゆっくり丁寧に」と伝えて、あとは彼らの技術と熱意を信じていた。
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そんな、サグラダ・ファミリアも2026年に完成するようです。
ーガウディ
わたしが建設している頃は、300年かかると思っていた。あの頃想像していたよりもはやくできるんだなあ。
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じゃあ、作っているときから、生きている間には見られないことはわかっていたんですか?
ーガウディ
ああ、わかっていたよ。それでも、はじめたんだ。
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2026年に完成した、サグラダ・ファミリアを見つめるガウディさんは、なにを想うだろう。
それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
グエルみたいな人と出会えるよう、がんばろっと。
このときの場所/スペイン バルセロナ
現在地/ドイツ バルセロナ
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