目がよろこぶような深い深いブルーと緑の、
ぶくぶくと水が湧き出ている水の中の穴ぼこ
Blue Eye (Syri Kalter)に行った帰り道、
ヒッチハイクをしてホテルまで戻ることに。

自分の思うさいこうの笑顔で、親指を立て車を待つ。
2分もしないうちに、白い車が停まってくれた。
乗せてくれたシャツ姿の40後半くらいの男性は、
これから仕事で隣に座る60歳近くの上司と
2人で街へ向かうのだという。

男性は英語が流暢というわけではないが、
「アルバニアに来てくれて、ありがとう。」
と言ってくれる、いい人代表選手のような人だ。

その男性と話していると、
アルバニアでは食っていけないということで
けっこうな割合のアルバニア人は、
お金を稼ぐために、海外にいるのだと。
マケドニアで出会ったおじさんも同じことを
言ってたっけなあ。

そのためか、男性の息子さんは、
アメリカに留学させているのだと言う。
「がんばったねえ、おじさん。」と言っても、
「まあね。」と、謙虚なリアクションをする男性。

「息子さんは、卒業してアメリカで働くの?」と
ぼくが聞いてみると、
「まだわからないなあ。
そのままアメリカで働くとしても、
それがやりたいことならがんばってほしいし、
アルバニアに戻ってくるなら、
それはそれで、もちろんウェルカムだよ。」
というようなことを言う男性。

よしもとばななさんの小説『サーカスナイト』
の一節にこんな言葉が綴られている。

あっさりしてるのに、冷たくない。
温かいのに、しつこくない。

主人公の女性が、やさしくて、たくましい
主人公のお義母さんについて語っている場面だ。
まさに、そんなお父さんだなあと思った。

この小説では、お義母さんに対して、
こんな言葉でも描写されている。

わたしはしばられている感じよりも、
むしろ、ふんわりと包まれているような
気持ちになる。

親としては、子どものことが心配だからこそ
しばったりしちゃうんだろうけど、
うん、これって子どもが思う親の理想ですよね。

これを書いていて、糸と布のことを思った。
しばることに使われる糸と、
包むことに使われる布。

しばることは簡単なんですよね。
そこに糸が一本あればできるんだから。

でも、包むためには、まず糸を紡いで
布を作らなければならないよね。
それはそれは簡単じゃない。

「こうされたらうれしいよなあ」とか、
「こうされたら嫌な気持ちになるよなあ」
というような経験という糸を
時間をかけて何度も何度も交互に紡ぐことで
面積のある布ができる。
布ができて、やっと人を包むことができる。

それは、子どもと親だけじゃなくって、
彼女と彼氏とか、妻と夫とか、後輩と先輩とか、
いろんな関係で言えそうな気がするね。

あなたのあらゆる経験は、
きっと人を包む布になるよ。きっと。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
縦の糸はいやだ、横の糸はうれしい、だじょ。

このときの場所/アルバニア サランダ
現在地/エチオピア

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