なんでも一言で語るのはむずかしいもので、
「あなたのお母さんを一言で語ると、
どんな人ですか?」って聞かれたって、
「やさしい人」って答えるかもしれないけど、
きっとそれだけじゃないでしょ。
親は怒ったりも、面倒くさかったりもするわけで、
「やさしい人」だけでは、収まりきらないはず。
ぼくにとってのインドのバラナシもそうで、
一言では収まりきらない。
あえて、一言で表してみるなら
「こわくてかわいい」(こわかわ)だ。
「こわい」と「かわいい」を組み合わせていて、
ずるいじゃないかと思うかもしれない。
そう、一つの単語では、言い表わせないのだ。
何にこわく感じたって、
圧倒的な人の量に恐怖心を感じた。
自分がこの場所で、いなくなっても
誰も気づかないし、誰も気にしないんじゃないか
ということを思った。
渋谷、原宿以上の人ごみ、いや、
ごみというのはなんかよくないなあ、人だからだ。
実際に、街を歩いていると、
行方不明の張り紙をいくつも目にする。
こわいなあと思ったことがもう1つ。
バラナシには、ガンジス川の隣に沐浴のできる
プールのように囲いのある場がある。
そこの脇を通ったときに、
「バン」と大きな音がした。
最初は、自分のリュックに入った
ペットボトルを落としたのかなあと思ったが、違った。
誰かがプールのような場所からペットボトルを
ぼくに向かって投げたのだろう。ひぇー。
ここまでを読んでると、バラナシこええ、
行きたくないなあと思うかもしれないけど、
かわいいなあと思うこともある。
小さな道を歩いていたら、
小学生くらいの男の子が「Hello」と言ってきた。
「写真撮っていい?」と聞くと、
さすがインド人、キメ顔で応えてくれた。
「ありがとう、バイバイ」と言って
別れた10秒後くらいに、
後ろから走ってくる足音が聞こえてくる。
「ねえ」とさっきの少年だ。
「写真のチップちょうだい」とでも
言われるのかなと思ったのだけど、
予想とはぜんぜんちがった。
キラキラとした瞳で「これ、あげる」と、
少年が好きなインド芸能人の雑誌切り抜き
と思われるものをくれた。
これは芸能人の顔が印刷されている
ただの紙切れだけど、
この体験はぼくにとって、
少年のかわいさや、やさしさも含めた
紙切れ以上に価値あるものだ。
それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
あなたの住んでる街はどんな街ですか?
一言じゃなくていいんだよ。
このときの場所/インド バラナシ
現在地/ネパール
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