名もなきいい人

世界の片隅にいる、いい人は、
いい人だからといって、有名なわけではない。
多くは世の中に名が知れわたってないという
意味で無名のいい人だ。

彼ら、彼女らは、有名じゃなくても、
いろんな人のこころにいい思いを届けてきた。

ぼくのこころにはとどまっている
ミャンマーで会った名前も知らない
いい人を紹介したい。

・ヤンゴン空港に到着して、警備員さんに
「乗り合いトラックに乗りたいんだ」と相談すると
「任せておけ」と、２人だった警備員が３人に、
３人だった警備員が、４人になり、
総動員で通るトラックを探してくれた。

３回くらい笛を吹いて
トラックを止めようとしてくれたんだけど、
お客さんでいっぱいで止められず。
結局、そのトラックはあきらめて、
近くのバス停までタクシーで行くことに。
値段交渉も一緒にしてくれた、いい人たち。

・バガン遺跡を探索中に、のどが渇いて
ミネラルウォーターを買いに寄った露天のお店。
買ってすぐに移動しようとしたら、
「いいから座って行きなさい」とおばちゃんに
言われて、ゆっくりすることに。

「タナカのお化粧っておもしろいよね」と、
おばちゃんに話すと、
「それなら、塗ってあげるは」と言って、
「タナカ」を顔に塗ってくれたいい人。

・パゴダへ自転車で行ったのだが、帰ろうとすると、
自転車の南京錠がなかなか開かない。
パイナップルを売っていたおばちゃんが
ニコニコしながら近づいて来て、
開けようとしていた姿勢がつらそうだったからか、
「これに座れ」と、小さな椅子を貸してくれた。

３分くらいカチャカチャやってても開かないので、
自分の娘らしき子どもを呼んできて、
娘さんが開けようとしてくれた。
それでも開かないもんだから、
警備員さんも呼んでくれたいい人。
警備員さんによって、カギ開きました。

・ウーベイン橋への道で迷っていたら、
「ぼくについてきて」と言うので、
ついていったのだけど、
線路で自転車を持ち上げてくれたり、
他の人にも場所を確かめたり、
あまりにもいい人なので、
最後にお金でもとられるのかなと思ったら、
わかりやすい道についたら、
あっさりバイバイするいい人。
疑ってわるかったぜ。

・ウーベイン橋の屋根のある場所で、
ゴミ箱を滑り台にして遊んでいる２人の子どもを
おもしろがって見ていたら、目があって、
白く濁った液体をコップに入れて、
もってきてくれた、いい子たち。
飲んでみたら少しの苦味を感じて、
うれしさと不安の狭間だ。
この飲み物なんだったんだろう？

・ウーベイン橋での映画みないな一場面。
風で飛ばされた彼女の帽子を取るために、
彼氏が橋から飛びおりる。
帽子を拾ったはいいが、
どうやって橋の上に戻っていいかわからず、
まずは彼女の帽子をかぶるいい彼氏。
かっこよくて、かわいいぞ。

もう人生で、交差することが、ないかもしれない
名もなきいい人たちに、もう一度ありがとう。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい１日を。
あなたの周りには、どんないい人が、いますか？

このときの場所／ミャンマー マンダレー
現在地／インド アーグラ

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