今週は、勝手に永六輔さんWEEKというとで、
著書『変じゃありませんか?』のから、
コトバをお借りして、いろいろと考えてみたいと思います。

俗に俗談平話という言葉がありますけれども、なんだか世の中っていうものは難しい言葉を使って難しくものを言う人が偉い人で、平易にやさしくわかりやすく話をする人は偉くないっていう分け方があるんですね。これ、とっても変だと思います。この(『COSMOS』を書いた)カール・セーガンという人は、実にわかりやすく、たとえば原子っていうものを説明してくれます。お読みになった方はご存知だと思いますけれども、たとえばリンゴを半分に切る。二等分にする。その半分になったリンゴをさらに二等分する。これで2回ですね。さらにそのリンゴをまた切るというふうに二等分を繰り返していくと、90回切りますと、原子とぶつかると言うんですね。

これは、なんともわかりやすい原子の説明ですね。
ちなみに、永六輔さんは、実際にリンゴを
90回切るチャレンジをしたようです。
よかったら、あなたもチャレンジしてください。
原子に出会えるチャンスです。

カール・セーガンは、おそらくですが、
これを子どもにも伝えるなら
どんな表現をしたらいいかを真剣に考えたのでしょう。
自分の頭と、子どもの頭を反復横跳びするように
行ったり、来たりを繰り返したと思います。

「これなら、わかってもらえるだろう」
「いや、これじゃ、まだわからないかあ」
「この表現なら、どうだ」を何度も、何度も。

広告などのコピーを考える作業も同じです。
書いては、自分から距離を離して、
これからこのコピーに触れる人の立場で考える。
最初に考えた時は「なんていいコピーなんだ」
なんて思っていても、自分から距離を置いて
次の日にそのコピーを見てみると、
「意味わからん」なんてこともたくさんあります。

ぼくたちの世界はコトバでは表し尽くせません。
だからこそ、コトバで説明したり、
コトバにして伝えるのは、むずかしい。

むずかしいを、むずかしいまま届けるのは簡単ですが、
むずかしいを、やさしくして届けるのは手間がかかります。
一度以上、伝える相手の立場に立って考えているからです。

料理を食べる人のことを思って、手間を惜しまずに、
出汁をとったり、彩り豊かにする料理人が偉いのと同じように、
相手に理解してもらうために、手間を惜しまなずに、
むずかしいを、やさしくする人は、すんばらしい。

えっ、野球のバッティングについて教えてほしいですって?
バットを「ブーン」と振って、ボールを「バーン」と飛ばすんですよ。
簡単でしょ?

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
馬鹿には、馬鹿わかりやすくできません。