パリの横顔」で、財布を盗まれてしまった
というイランの女性と話していた。

彼女はスイスの大学に留学しているらしい。
「卒業したらどうするの?」と聞くと、
「スイスに残って働きたい」と彼女は言う。

「どうして?」とぼくが聞くと、
「イランでは女性は自転車に乗られないとか、
いろいろときゅうくつなの」と言う。

「男性にとってはいいけど、
女性には自由がなくて、息苦しい。
とにかく、イランを出たかった。
場所はスイスじゃなくてもよかった」
そう彼女は正直に言う。

ぼくはイランに行っていないので、
どれほどの不自由があるのかわからないけど
なんだか逃げるように外国へ出たことは、
わかった。

「卒業したあと、スイスで働くためには、
ドイツ語を習得しなくちゃいけない。
今は、ぜんぜん話せないど、
がんばらなくちゃ」彼女はそう言う。

その国に行きたくて、その国の言語を
習得している人も大変だろうけど、
逃げるように外国に来て知らない国の言葉を
習得しようとしている人は、
どれほど大変だろうか。想像もつかない。

でも、その国で生きていくと覚悟を決めて、
その国の言語を学ぶ人はぜったいに強い。

それでは、今日も、明日も、明後日も、いい1日を。
きゅうくつを感じて、そこから逃げられるなら、
逃げればいいよ。

このときの場所/フランス パリ
現在地/スウェーデン ストックホルム

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